奥様がご主人のために建てられたお墓

皆さんこんにちは。 毎日雨が降り続き、せっかくの連休と言ってもなかなかお出かけできませんね。

また、一部地域の方々におかれましては、大雨による災害で被災された方もいらっしゃいます事を心よりお見舞い申し上げます。

さて本日は、以前に建立させて頂いたお墓をご紹介させて頂きます。 ご主人さまの実家が少し離れた田舎にあり、ご主人様がお元気な時には、夫婦そろってお墓の管理をされていたのですが、この度ご主人さまが先立たれ、奥様一人では田舎のお墓を管理していくのが難しいため、何かいい方法がないかということでご相談を受けました。

 まず最初にご主人様の実家のお墓を見させて頂きました。 ご実家から車で数百メートル走り、車を降りて徒歩で山道を歩いていきます。 険しい山道を約200mほど歩いていくと、とつぜん木々の間に少し開けた場所があり、その山の斜面にお墓がありました。 

以前は、お墓までの道もご主人様が手入れされていたようで歩きやすかったみたいですが、今は歩くだけでもひと苦労。 一人ではとても管理できるようなものではありませんでした。ご実家は、歴史のある家のようでたくさんのお墓が建っていました。

このお墓を、奥様が一人で管理されていくのはとても無理だというのが正直な感想でした。 

今回の施主様は、ご主人様がご健在の時から、いずれはお墓を移設したいと考えられていたようで、ご自分の家の近くにも新しい墓地を購入されていました。 

しかし、実際にお墓を見せて頂いた結果、お墓の移設は難しいと感じたため、古いお墓を【墓じまい】とし、新居の近くの新しい墓地にお墓を新しく建立し、ご先祖さまとご主人のお骨をそちらでお祀りされることをご提案させていただきました。 

奥様もその方法がいいのではないかと考えられていたため、すぐにご了承を頂き、設計に取り掛かりました。 

弊社のお墓は、すべてフルオーダー。それぞれのお客様に合ったオンリーワンのお墓を、お客様のご希望をお聞きしながら、いちから設計いたします。

 奥様のご希望としては、あまり形式ばったお墓ではなく、ご主人様・奥様とご縁の有る方々誰でもがお参りしやすいお墓で、また、お参りしてすぐ帰られるのではなく、そこにしばらく留まって、故人とお話ができるようなお墓を作りたいということでした。

できれば洋型のお墓がご希望だということでしたので、洋型で間口は広く、墓前の踊り場もできるだけ広く取るようにしました。

墓地のスペースが結構広く、また、少し軟弱な地盤だったため、土を入れ換え栗石と砕石で転圧をかけて押し固め、厚目の基礎コンクリートを鉄筋で補強し、しっかりと打ちました。

大きなコンセプトは、お墓を『お骨を入れるところ』としてとらえるのではなく、『終の棲家』と考え、『生前に住まわれていた家のようなお墓』としました。 巻石の入り口に門柱を設置し表札を付け、『家』の雰囲気を演出しました。 

巻石に門柱の付いたお墓は沢山ありますが、どうしても『お墓』の域を抜け出せなかったので、あえて普通の『家』に使われるような門柱を使い、お墓感を払拭しました。 

一般的に、お墓の外柵は左右対称が多いのですが、そうするとどうしても少し硬いイメージになってしまうため、あえて左右非対称にしました。これでいっきに、お墓感を払拭できたように思います。結構おすすめです‼  そして、出来るだけ段差をなくし、高齢になられてからもお墓にお参りしやすいようにバリアフリーとさせていただきました。 

また、奥様の希望もあり、墓前にベンチを設け長く故人と対話ができるような空間を創出しました。 これもとても喜んでいただきました。

お墓に刻ませて頂いた『心』の文字は奥様のご希望でした。 お墓に文字を刻ませて頂きながら、これまでもそしてこれからも、心を大切に生きていかれるのかな~なんて考えていました。

出来あがったお墓を見て、本当に喜んでいただき、石屋って本当にいい仕事だと改めて感じた今回のお仕事でした。